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研究内容
多重極限環境下のNMR
極低温(0.01K)+高磁場(18T)+高圧(3GPa)=?

ある物質の物性を理解しようとするとき、最も一般的な方法は、 その物質の置かれた環境のパラメータ(温度、圧力など)を変化させ、 そのパラメータの変化に伴う物性の変化を観察することです。

例えば酸素の場合、温度をパラメータとして、 高温の気体の状態から液体、そして固体へと変化することがよく知られていますが、 さらに圧力をパラメータにとれば、磁性金属状態を経てついには超伝導が出現することが最近の超高圧実験 (天谷研究室<基礎工・物性物理>)により発見されています。

 

このように物性研究において(特に強相関系を対象にした場合は)、 超伝導や磁気相転移といったその物質を理解するうえで重要でかつ興味深い現象が、 しばしば極低温や超高圧といった容易には到達できない環境(極限環境下)に隠されていることが多く、 そのような極限環境下での測定技術を確立していくことが、物性研究を進めて行くうえで欠かせない要素となっています。

 

現在、我々の研究室では、温度(単位:ケルビン[K])、磁場(テスラ[T])、そして圧力(パスカル[Pa]) の3つを主要な環境パラメータとしてNMR測定を行なっています。

温度

所有する3台の3He-4He希釈冷凍機を用いて、0.01Kまでの極低温領域でのNMR測定の技術を確立しています。

磁場

所有する超伝導マグネットを用いて最高で18Tの高磁場下でのNMR測定を行なうことが出来ます。 また必要であれば更に30Tという超高磁場下でのNMR測定をアメリカの強磁場実験施設を利用して行なっています。 (注:1テスラ = 10000ガウス )

圧力

現在、国内および海外の研究所、企業との協力により、 強磁場下でも使用可能な非磁性高度材料を用いた新しい高圧発生装置の開発を進めており、 これまで困難であった高圧下でNMR測定が可能となってきています。

将来的に我々が目指しているのは、このような極低温、高磁場、そして高圧という3つの極限環境を組み合せた、 いわゆる多重極限環境下でのNMR測定技術の確立です。このような多重極限環境下で現われる新しい物理現象を、 NMRというミクロな視点で直接観測することができるようになれば、 より深い物性への理解が得られると我々は考えています。

極限環境を生み出すための様々な実験設備

希釈冷凍機

極低温測定用3He-4He
希釈冷凍システム

圧力セル

高圧測定用ピストンシリンダー型
圧力セル

詳しくは実験設備(Equipment) を参照してください。

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